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REVIEW「超戦」vol.9 | 敗戦からの「超戦」~基本に立ち返る強さ | 第九戦 vs 大同特殊鋼レッドスター

シリーズでお届けするREVIEW「超戦」。

今回は「2019-20 V.LEAGUE DIVISION2 MEN」第九戦、12月8日(日)に愛知県で行われた「大同特殊鋼レッドスター戦」の戦評です。ピックアップ動画も記事の最後にご紹介します!

ヴォレアス北海道 3 25 – 20
27 – 25
25 – 20
0 大同特殊鋼レッドスター

破竹の7連勝の後に初黒星を喫したヴォレアス北海道にとって、真価が問われる九戦目となる大同特殊鋼レッドスターとの対戦。第1セット立ち上がりは前日の敗戦の影響かヴォレアスに硬さが見られ、オフェンスエラーなどで4連続失点を喫し、ゲーム中盤まで大同特殊鋼にリードを許す我慢の展開が続いた。大同特殊鋼はサウスポーを2枚擁し、さらには二五田の破壊力あるアウトサイドからのスパイクなどでヴォレアスに対抗。緊張感が漂うなか、第1・第2セットはともにもつれた展開から終盤ヴォレアスが逃げ切る形で連取した。前日からの悪い流れを断ち切ることができたのか、第3セットは緊張感から解放されたヴォレアスが本来の勢いを取り戻し、セットカウント3-0のストレートで大同特殊鋼を下した。

 

勝因の一つとして、オポジットの得点力の差が挙げられる。ヴォレアスの得点源であり高さと破壊力ある古田の攻撃、セッター辰巳の積極的なセットにより、ライトサイドからの攻撃で得点を量産した。

今回の試合におけるもう一つの大きな勝因は、「基本に立ち返った」プレーを遂行するヴォレアスの姿勢にあったと考えられる。ヴォレアスバレーの魅力の一つに、観る者に高揚感をもたらす多彩で難易度の高いオフェンスプレーがある。しかし大同特殊鋼に対しては、これまでのような多彩な攻撃やトリッキーなプレーはさほど多くなく、地道に得点を重ねていった。どのセットでもヴォレアスはラリーの中からトランジション・アタック(※1)を確実に決めることで、劣勢でもブレイクし形勢を逆転する場面が見られた。この土台には「サーブ&ブロック」というバレーボールの戦い方の基本が存在していたという点を見逃してはいけない。ヴォレアスのどの選手もサーブで相手のオフェンスシステムを弱め、自チームのブロックを機能させていた。中盤までのもつれた展開の中でもエドHCがタイムアウトを拙速に取ることなくじっくり戦況を見守っていたことからも、ヴォレアスの「サーブ&ブロック」というゲームの土台に、ある程度の手応えを感じていたのではないだろうか。前日の敗戦の尾を引くことなく、基本に立ち返り地に足をつけた盤石な試合運びで、本来のヴォレアスの強さを取り戻したと言える。

※1「トランジション・アタック」ってなに?
ラリーにおいて、アタックが出現する直前には必ず守備の場面が存在し、相手のサーブを受ける場面と、相手のアタックを受ける場面の2つに分けられる。このうち、相手のアタックを受けた直後のアタックをトランジション・アタックと言う。トランジション・アタックの決定率は、ブレイクをとる上で重要である。さらにトランジション・アタックの決定率を上げるためにはブロックが重要となる。

 

PICKUP PLAY

今回はサーブ&ブロックから。田城貴之のサーブによって相手が崩れ、バックアタックとミドルのAクイックを打つ可能性を下げた上で、キサル選手がリードブロックでしっかり対応しブロックキルまで繋がった、一連のプレーです。

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